CLINIC BLOG
~歯の異常~
こんにちは。
北24条かやの歯科クリニックのどいです。
いや~暑い日々が続いていますね💦
北海道も予報では例年より暑くなるみたいで、先が思いやられますね😓
就寝中の熱中症のリスクも高くなってくるので、適切な対応が必要になりますね。
皆さまもどうかお気を付け下さいませ🙇
さて、今回は「歯の異常について」をお話させて頂きます。
歯はエナメル質、象牙質、セメント質の硬組織と軟組織である歯髄から構成されます。エナメル質は形成が完了すると形成細胞であるエナメル芽細胞は、退縮・消失するため、う蝕・破折などで欠損が生じると再生することができません。一方、象牙質では歯髄が、セメント質では歯根膜が健全であればそれぞれ内側と外側に添加されます。歯は先天的に形・数・色に異常がみられる場合と、加齢によって、歯の数や形に異常が現れる場合があります🧐
【歯の数の異常】
(1)歯の数の過剰🦷
歯の数は乳歯で20本、永久歯では28本で第三大臼歯(親知らず)を入れると最大で32本です。しかし余分に歯が出現する場合があります。その部位は上顎中切歯の間に生える場合が多いのが特徴です。上顎中切歯の外側、上下の大臼歯の頬側や後方に出現する場合もあります。
1.臼旁歯: | 上顎第二、第三大臼歯の近心頬側部に出現する過剰歯を臼旁歯といいます。 |
2.臼後歯: | 上顎第三大臼歯の遠心部に出現する過剰歯で、第四大臼歯とも呼ばれます。 |
(2)歯の数の不足🦷
第三大臼歯(親知らず)が欠如することを「歯数が不足」とは言いません。珍しいことではないからです。歯が欠如する場合、側切歯、第二小臼歯、下顎中切歯に多くみられます。この歯の欠如という現象は、歯の数の過剰と比較すると、とても多くみられます。変則のみに歯の欠如がみられる場合、両側にみられる場合、数歯におよぶ場合など多くの場合があります。
(3)歯牙腫(しがしゅ)🦷
歯牙腫は、歯胚が過剰に作られることで生じる良性腫瘍で、歯の構造を含んでいるのが特徴です。
歯牙腫は、集合性歯牙腫と複雑性歯牙腫に分けられますが、どちらも痛みや腫れなどの自覚症状はなく、レントゲンで撮影することで見つかるケースが多い症状です。
【歯の形の異常】
(1)結節の出現🦷
胎生期に何らかの発生異常の結果、歯の様々な部位に大きな結節をつくる場合があります。
1.カラベリー結節:上顎第一大臼歯にみられる結節をいいます。部位は、近心舌側咬頭の舌面にみられます。第5咬頭とも呼ばれ、上顎第二乳臼歯にもみられる場合があります。他の大臼歯では稀です。
2.中心結節(中央結節):舌面窩、および咬合面に稀に生じる結節です。下顎第二小臼歯に最も高率で出現します。切歯の舌面窩にみられる場合、切歯結節と呼ばれます。
3.臼後結節:第三大臼歯に出現する過剰結節を臼後結節といいます。
4.臼旁結節:上下顎大臼歯の頬面に稀にみられる過剰結節で、臼旁歯が癒合したものと考えられています。
5.エナメル滴:大臼歯の歯根部、歯頸部などに出現するエナメル質塊をエナメル滴といいます。下顎よりも上顎に多くみられます。エナメル質表面が滑沢で光ることからエナメル真珠とも呼ばれます。
(2)矮小歯🦷
上顎側切歯によくみられる矮小に変形した歯を矮小歯と呼びます。その形が円錐形であれば円錐歯、円筒形であれば円筒歯と呼ばれます。
(3)彎曲歯🦷
歯根は一般的に遠心方向に屈曲しますが、歯頸部から歯根中央部くらいで大きく屈曲する場合があり、この折れ曲がったような形態を呈する歯根を持つ歯を彎曲歯と呼びます。
(4)ハッチンソン歯🦷
ハッチンソンの歯は、生まれつき梅毒にかかっていた時に起こり得る歯の形の異常で、永久歯の上顎前歯の縁に、半月状のくぼみが生じます。
左右両方ともに生じることが多いですが、片側だけということもあります。歯の横幅も細くなっている状態が多く見受けられます。
(5)円錐歯(えんすいし)🦷
円錐歯は矮小歯の一種です。歯肉側から先端に向かうにつれて歯が細くなっており、文字どおり円錐のような形をしているのが特徴です。
円錐歯の多くは、先に向かって細くなっているだけでなく、歯冠の長さも短くなっています。
(6)栓状歯(せんじょうし)🦷
栓状歯も矮小歯の一種で、円錐状より、やや円柱に近い歯の形をしています。栓状歯は横幅は狭いのですが、歯の前後の幅には厚みがあるのが特徴です。また、先端部分にくぼみも見られます。
(7)双生歯(そうせいし)🦷
双生歯(Germinated Teeth)は歯の奇形の一種で、一つだった歯胚(しはい:乳歯の元となる芽のようなもの)が何らかの原因で二つに分離してしまい、そのまま成長発育した歯のことをいいます。
【歯の発育異常】
歯の成長発育が足りない場合には、歯の数や構造、形、色などに以下のような症状が現れます。
歯の数の異常
歯の成長発育不足は、歯そのものの数にも影響が出ます。
(1)完全無歯症(かんぜんむししょう)🦷
無歯症は歯の数が足りない状態のことで、完全無歯症は歯が全くない状態をいいます。完全無歯症は大変珍しい症状です。
無歯症は、身体の外側を作る外胚葉の病気である外胚葉異形成症(ectodermal dysplsia:がいはいよういけいせいしょう)の一症状として現れることがあります。
外胚葉異形成症とは、先天的に毛髪や歯、爪などの外胚葉組織に異常がある疾患のことで、歯の数だけでなく、汗を作る汗腺や皮脂を作る皮脂腺の欠如、毛髪の異常などが認められます。
(2)先天性欠如(せんてんせいけつじょ)🦷
先天性欠如は、生まれつき歯が正常よりも少ない状態です。先天性無歯症(anodontia)の一種ということで部分的無歯症(partial anodontia)という言い方もできます。(上述の完全無歯症はcomplete anodontiaと言われます)
先天性欠如は、第二小臼歯という前から5番目の歯や、側切歯(そくせっし)という前から2番目の歯に生じやすい傾向があります。先天性欠如は、10人に1人くらいに見られるので、比較的高い頻度を示しています。
【歯の構造の異常】
歯の発育が不足している場合の構造異常は、歯を構成しているエナメル質や象牙質(ぞうげしつ)がきちんと作られていない状態を指します。
(1)エナメル質形成不全症(MIH)🦷
エナメル質形成不全症(MIH:Molar Incisor Hypomineralization)は、歯の表層を覆っているエナメル質がきちんと作られない状態です。症状によって、エナメル質減形成(げんけいせい)とエナメル質石灰化不全(せっかいかふぜん)に分けられます。
エナメル質減形成では、エナメル質の厚み不足、部分的なエナメル質の欠落が見られます。このため、象牙質の色が浮き出てきやすくなり、黄色みが強い歯になります。エナメル質石灰化不全では、白斑や黄斑、褐色斑などの色ムラが歯に生じます。
(2)象牙質形成不全症🦷
象牙質形成不全症は、文字どおり象牙質がきちんと作られない状態で、歯が琥珀色っぽくなります。
象牙質形成不全症の場合、象牙質とエナメル質の結合力が低く、エナメル質が剥がれやすいので、歯が容易にすり減ってしまいます。また、象牙質がきちんと作られないので、歯根は短く、細くなっています。
こちらで述べたエナメル質形成不全症(MIH)や象牙質形成不全症の実例は、日本小児歯科学会のサイトで見ることができます。
【歯の色の異常】
歯の色にも発育不全の影響は現れます。
(1)斑状歯(はんじょうし)🦷
斑状歯は、歯の成長期にフッ素を過剰に体内に取り込むことで起こる歯の色の異常で、1~2ppm以上のフッ素を長期的に取り込むことで起こります。
斑状歯になると、歯の表面に左右対称の水平な褐色、もしくは白色の着色が生じます。斑点状の着色症状のこともあります。この斑状歯の実例は日本臨床口腔病理学会 JSOPのサイトで見ることができますので、興味のある方は併せてご覧ください。
実はこの斑状歯の発見が、虫歯予防にフッ素が効果的であると判明したきっかけです。もちろん歯科医院で行うフッ素塗布や、高濃度フッ素配合の歯磨き粉などは安全ですので、ご安心ください。
(2)テトラサイクリンの副作用🦷
テトラサイクリンは抗菌薬の一種です。歯の形成時期にこのテトラサイクリンが投与されると、象牙質に含まれるカルシウムにテトラサイクリンが結びつき、歯の表面にしま模様が現れたり、歯の色が灰色っぽくなったりします。
【歯の構造の異常】
(1)歯内歯(しないし)🦷
もう一度、歯の構造を示した図を引用します。歯の神経を歯髄(しずい)といい、歯髄が収まっている歯の内部空間を歯髄腔(しずいくう)といいます。
歯内歯は、歯髄腔内部にエナメル質や象牙質が過剰に入り込んだ歯の奇形の一つです。上顎の側切歯(そくせっし)にしばしばみられます。歯内歯の実例は日本臨床口腔病理学会 JSOPのサイトで見ることができますので、興味のある方はご参照ください。
以上、いかがでしたでしょうか?🤔
少し、難しいお話になってしまいました💧
歯の発育不全、形態異常には様々な種類があることが分かって頂けましたでしょうか?
もし、お子様やご自身の歯にもしかしたらと思い当たる箇所がございましたら、一度かかりつけの歯科医院での受診をお願い致します🙇
必要に応じて治療が必要なケースも出てきますので、専門家によるチェックが大事です✅
では、今回はこのへんで~👋
また次回、元気にお会いしましょう❗️
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