CLINIC BLOG
歯についての一般知識~歯周病の原因~
こんにちは🌞
北24条かやの歯科クリニックのどいです。
雪解けも進み、歩道もだいぶ歩きやすくなりましたね。
所々雪は残っていますが、ブーツはやめて普通の靴になりました。
暖かい日も続いているので、このまま一気に春になって欲しいですね。
(まだまだ油断はできませんが💦)
さて今回は「歯周病の原因」についてお話させて頂きます。
【歯周病の原因】
1:プラーク
歯周病には、歯周病原菌といわれる細菌🦠が関わっていると考えられています。歯みがきが十分でないと、歯垢(プラーク)が歯と歯肉の境目に増えていきます。プラークの中には、1mgあたり1億個以上もの細菌が含まれます。細菌が産生する毒素によって、歯肉が腫れたり出血しやすくなったりします。この状態から進行していくと、歯肉が炎症によってどんどん腫脹し、歯周ポケットが深くなります。深くなった歯肉ポケット(歯肉溝)の中は歯周病の病原菌の繁殖しやすい酸素の少ない状態であるため、歯周病原菌の繁殖はさらに進むことになります。また、プラークの中の細菌などは唾液に含まれるカルシウムやリン酸と結合して、歯石という軽石のような硬い物質として歯の表面に付着します。細菌はこの歯石を足がかりにして、さらにポケットの奥深くへと進行していきます。進行していくと、歯周病原菌の毒素は歯を支える歯槽骨を溶かしていき、歯がグラグラしてきたり、歯肉が下がってきたり、歯が抜けてしまったりします😱
おもな歯周病原菌にはP.g.菌(Porphyromonas gingivalis)・A.a.菌(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)・P.i.菌(Prevotella intermedia)・T.f.菌(Tannerella forsythia)・T.d.菌(Treponema denticola)などが知られていますが、このほかにも数十種類もの細菌が歯周病との関連を疑われており、他の多くの感染症のように1種類の細菌やウィルスの感染によって起こるものではありません。
2:リスクファクター(危険因子)
歯周病の直接の原因はプラークですが、「口腔内の環境」や「生活習慣」の中には間接的に歯周病を悪化させるリスクファクター(危険因子)が潜んでいます。歯周病が生活習慣病の一つといわれるのはそのためです。
歯周病予防には、適切な歯みがきでプラークを取り除くことが基本です。さらに歯周病のリスクファクターを少なくすることが大切です。
【歯周病のリスクファクター】
1:局所的なリスクファクター(口腔内の環境など)
(プラークを増殖させたり、歯肉の炎症を悪化させたりする要因がリスクファクターとして考えられます。)
- 歯石:プラークを放置すると、唾液中のカルシウムやリンなどが沈着して歯石になります。歯石表面には細菌が住み、プラークが増殖しやすいため、歯周病をさらに悪化させる要因になります。
- 歯並び:歯並びが悪いところは歯みがきが不十分になりがちでプラークが増殖して炎症が起こりやすくなります。
- 不適合な修復物など:歯に合っていない修復物(クラウン)などの周りにはプラークがたまりやすくなります。
- 口腔習癖:「口呼吸」や「歯ぎしり」など、日常的に癖になっている悪い習慣のことで、歯周病を悪化させたりします。
- 口呼吸:口で呼吸する癖がある場合、口の中が乾燥しプラークがつきやすくなります。また、歯肉の抵抗力が弱まり炎症がおきやすくなります。
- 歯ぎしり:歯周組織は歯ぎしりのような横から加わる力にはきわめて弱いため歯周病が悪化します。
2:全身的なリスクファクター(生活習慣など)
(近年、生活習慣が歯周病を引き起こしたり、悪化させたりするリスクファクターであることがわかってきました。歯周病を予防・改善していくには、口腔内環境はもちろん、生活習慣を見直してリスクファクターを減らし、全身の健康状態をととのえていくことが大切です。)
- 喫煙🚬:喫煙は歯周病を悪化させる大きなリスクファクターです。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させて歯肉の血行不良をひきおこします。さらにタバコには一酸化炭素も含まれていて、歯周組織の酸素欠乏を引き起こします。そのため、歯周組織は栄養不足になり、歯周病細菌に対する抵抗力が低下し歯周病を重症化させます
- ストレス😣:精神的ストレスによって体の抵抗力が弱くなったり、生活習慣(歯みがき、喫煙、食生活など)が変化したりすることで歯周病が悪化しやすい状態になります。
- 食習慣🎂:甘いもの、やわらかいものを多く食べる習慣は、歯周病の原因であるプラークを増殖させやすくします。また、不規則な食事、栄養の偏りは歯周組織の抵抗力を弱め、全身の健康に悪影響を与えます。
【補足①:プラークについて】
プラーク(歯垢)は食べカスではなく、細菌🦠の塊です。プラーク1mg中の細菌数はなんと約1億~2億個!このプラークの中にむし歯や歯周病の原因となる細菌がひしめいているのです。
プラークは歯のどの部分につくかによって 「歯肉縁上プラーク」 と 「歯肉縁下プラーク」 に分けられ、それぞれに棲みつく細菌の種類も違っています。
プラークとは歯垢のことで、歯の表面にできる細菌やその代謝産物からなる粘性構造物のことです。プラークコントロールが上手くできていないと、歯肉炎になってしまいます。プラークの組成は約80%が水分、約20%が有機質で、有機質成分のうち70%を細菌体が占めています。1㎎あたりのプラーク中には約1~2億個の細菌が生息していて、200〜500種類の細菌種がいると言われています。このうち10種類前後の細菌が歯周病の原因となる菌として歯周組織に害を与えています。プラークの基質成分としては、多糖性ポリマーの他、唾液や歯肉溝滲出液由来の糖タンパクや細菌由来の無機成分も含まれています。健康な歯周組織か歯肉炎を持つ人のプラークの中には、酸素の下で発育する好気性菌が優位に発育しますが、病状が進んだ歯周炎を持つ人から採取したプラーク中には、酸素の少ない所で発育する嫌気性菌の割合が増加し、特にグラム陰性嫌気性菌が多く見られます。歯周病原菌とよばれる細菌のほとんどは、このグラム陰性嫌気性菌です。
※グラム陰性嫌気性菌:グラム染色に染まらない酸素の少ない場所を好む菌
※グラム陽性嫌気性菌:グラム染色に染まり酸素の少ない場所を好む菌
【補足②:プラークの形成と成長】
歯の表面には獲得皮膜(ペリクル)と呼ばれる唾液由来の糖タンパク質の膜が生理的に形成されます。このペリクルに細菌が付着することによってプラーク形成の足場ができあがります。ペリクルを介して歯面に付着した種々の細菌は集合して共凝集をおこすと、細菌自らの代謝産物である多糖性ポリマーと混じり合ってバイオフィルム(=水場のぬめりと同じ)とよばれる一塊の大集団を形成します。バイオフィルムは城壁に囲まれた強固な砦のようなものであり、バイオフィルムが形成された状態では、細菌はプラーク内部で自らを守る環境を整えながら増殖を繰り返し成長します。成長したバイオフィルムの中の細菌群は、好中球やマクロファージなどの攻撃に対して抵抗性を示し、また殺菌含嗽剤や抗生物質などの外部からの作用に対しても抵抗性を示すようになります。このようにバイオフィルムを形成したプラークは、外部からの攻撃を回避しつつ成長し、歯周疾患発症の温床になります。プラークから離れた歯周病原菌は歯肉の内縁上皮を通過して歯肉結合組織内に侵入し、組織為害作用を発揮します。グラム陰性菌の細胞壁成分であるリポ多糖(LPS)は内毒素とよばれ、赤血球を溶解したり、骨吸収を誘導したりします。またグラム陰性菌はコラゲナーゼなどのタンパク分解酵素を産生して組織を破壊する作用を有しています。
【補足③:歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラーク】
歯肉辺縁より歯冠側の歯面に付着したプラークを歯肉縁上プラークとよび、歯肉辺縁より根尖側に付着したプラークを歯肉縁下プラークと呼びます。歯肉縁上プラークが成長し、歯肉縁下プラークへと連なった形で歯頚部に付着すると歯肉炎が生じ、歯肉の発赤や腫脹が起こります。一般に歯肉縁上プラークは好気性菌が優位に発育しています。歯肉炎が慢性化すると、歯肉縁下プラークが歯肉溝底面までおよび、上皮性付着が破壊され歯周ポケットが形成されます。さらに、根面に付着した歯肉縁下プラークが歯周ポケット内で一気に増殖し、深部にまで炎症が広がっていきます。歯周ポケットの深い部分では、嫌気性菌の割合が増加するようになります。歯周ポケットの内部では、プラークは歯面に付着する付着性プラークとポケット内に浮遊する非付着性プラークとの2種類の様式で存在する。ポケット内では、歯肉溝滲出液に含まれる栄養分を得てプラークはさらに成長し、非付着性プラーク中の細菌は、歯肉組織に侵入し歯周組織を破壊する予備軍となります。
以上、いかがでしたでしょうか?
歯周病の原因は大きく分けてプラークとリスクファクター(危険因子)の2つに大別されるというのがお分かりになったと思います。
では、そのプラークや危険因子を放置するとどうなるのか?
歯周病の進行について次回はお話させて頂きたいと思います。
では今回はこの辺で~👋
また来週元気にお会いしましょう🙇
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