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歯についての一般知識~フッ素とは?~


こんにちは🌞
北24条かやの歯科クリニックのどいです。

天気良く暑い日々が続いていますね🥵
先日、私は富良野と美瑛に行ってきました。
不安定な天気でしたが綺麗なラベンダー畑や青い池を見ることができました❗️
これから夏にかけて観光で賑わうでしょうね。

さて、今回は「フッ素」についてお話させて頂きます。皆さんも歯磨剤やマウスウォッシュ剤などに含まれおりよくご存知だと思う「フッ素」ですが、歯科とフッ素の歴史など「へぇ〜🤔」と思うようなことを取り上げていきたいと思います💁

【フッ素とは?】

◎基本情報

フッ素は原子番号9のハロゲン族元素でミネラルの一種です。フッ素原子は水素原子に次いで小さく、電子を引きつける力が全原子の中でも最大です。これによりフッ素は原子同士が反発し合うことから、結合エネルギーが極めて低く、どんなものも酸化してしまうことで知られています。

フッ素は自然界では単体で存在せず、フッ化物として存在しています。植物や動物にごく微量に含まれており、抹茶や魚介類に含まれることが知られています。また、人間の体内では13番目に多く存在する元素で、体重60㎏の人間の場合、約2.6g含まれており、このうち95%は骨などの硬組織に存在しています。

また、フッ素は半導体や交通・輸送、エネルギー・環境、医薬品・農薬など生活の様々な場面で活躍しています。

◎フッ素の歴史

フッ素の歴史は有史以前に遡ります。有史以前からオーストラリアの原住民がフッ素を含む植物汁を矢に塗り、狩りに利用していたといわれています。古代エジプト・ギリシャ・ローマ時代には蛍石が宝石・装飾品などとして利用されており、中国では漢方薬として用いられていました。

フッ素が書物に登場したのは、1530年に「ベルマヌス」という書物の中でゲオルギウス・アグリコラが蛍石を紹介したのが始まりです。1812年になり、アンペールによって元素名を「フッ素」と名付けられました。

19世紀に入ると数多くの研究者・化学者によりフッ素ガスの単離が行われました。しかし、フッ素ガスの激烈な性質のために困難を極め、病に倒れる研究者が何人も現われました。そんな中、ようやくフランスの化学者であるアンリ・モアッサンにより1886年に単離に成功しました。アンリ・モアッサンは1906年にノーベル化学賞を受賞しました。20世紀前半になると欧米で、適量のフッ化物が含まれる水を飲料水としている住民に虫歯が少ないことがわかり*、これをきっかけに1940年代半ばに、飲料水にフッ素が少ない地域にフッ素を追加して虫歯予防に適した濃度に調節することが推奨されました。また、飲料水にフッ素が過剰な地域では、フッ素濃度を低くする方策がとられました。この取り組みを水道水フロリデーションと呼んでいます。

*フッ化物による虫歯予防効果の発見のきっかけとなったのが、斑状歯(はんじょうし)という歯の色素沈着症です。
今から100年以上前の1900年代初頭、ヨーロッパやアメリカで、歯の色調異常が相次いで発見されることがありました。
最初は1901年のイタリアのナポリです。ナポリからアメリカに移住してきた人の間で、歯に茶色っぽい色素沈着が多く見られることを、イーガーという歯科医師が発見しました。
また、その数年後の1908年、マッケイという歯科医師がアメリカのコロラドスプリングスで、ナポリからの移住者と同じような歯の色素沈着症に気づきます。
マッケイは、この色素沈着症をコロラド褐色歯と命名し、以降、アメリカのアイダホ州や先住民などにも、歯の色素沈着が見つかるようになりました。そして、このような色素沈着症を認めた歯を斑状歯と呼ぶようになりました。

◎フッ素の排泄

口から摂取したフッ素は体内に入り、血液中🫀に取り込まれます。体内に入ったフッ素の一部は歯🦷や骨🦴の栄養となり、それ以外の大半は腎臓を介し、排泄されてしまいます。

成長期の子どもは、骨と歯にフッ素の取り込みが多い傾向にありますが、フッ素は骨に蓄積することはなく、体内でバランスを保っています。

◎フッ素の過剰症

フッ素を同時にたくさん摂ることで歯に縞模様が出るフッ素症(斑状歯)になる危険性も報告されています。フッ素症は斑状歯や歯くされ病とも呼ばれており、1930年以降にようやくその原因がフッ素であると明らかになりました。1942年には、アメリカの国立歯科衛生研究所のH.T.ディーンらによって虫歯と飲料水中のフッ素を含むフッ素症の関係について調査が行われました。この調査によると、飲料水中のフッ素濃度が高いほどフッ素症の頻度も高くなるという結果が出ています。また、フッ素症は多量にフッ素を摂取した時期に生えた永久歯にみられることが多く、これらの結果からWHO(世界保健機関)は1994年に「6歳以下の子どもへのフッ素洗口は禁止する」という見解を出しています。フッ素を歯に塗って歯の治療を行うことは医療行為とされています。こういった治療を受ける際は歯科医の指示に従うようにし、食事などでも摂りすぎには注意が必要です。フッ素入りの歯磨き粉も、使用後の飲み込みには注意が必要です⚠️

【フッ素の効果】

◎歯の健康を保つ効果

フッ素は歯の再石灰化を促進する効果が期待されています。歯はエナメル質と呼ばれる人間の体の中で最も硬い硬組織におおわれており、歯の表面のエナメル質や唾液に含まれる成分が細菌から歯を守っています。歯は食事の度に表面にダメージを受けていますが、1時間程で修復作業が行われ、歯は元通りになり虫歯にならないようになっています。これを歯の再石灰化といいます。ところが、口の中に食べ残しが長時間あると、その食べ残しをもとに虫歯菌が酸をつくり続け、歯のリン酸やカルシウムなどが溶け出してしまいます。その結果、修復作業が追いつかなくなり虫歯ができてしまいます。

フッ素はエナメル質にカルシウムと一緒にくっつき、歯がリン酸やカルシウムをより取り込みやすいようにする働きがあります。このように歯のエナメル質を強くして、虫歯菌がつくる酸によるダメージから歯を守る役割を担っています。

◎虫歯を予防する効果
フッ素は、顎の中で虫歯になりにくい歯をつくります。フッ素を含む水道水や食塩・牛乳を摂り入れることで歯が形成される前から歯質の強化をすることができます。しかし日本では、フッ素の過剰摂取などの心配から、水道水へのフッ素の添加は行われていません。

<豆知識①>上水道へのフッ素の添加
フッ素が虫歯予防に効果があると知られるようになり、アメリカではミシガン州のグランラピッズ市で1945年、上水道にフッ素化物が加えられました。これをきっかけに現在では全米で1億5000万人がフッ素化物入りの上水道を使用しています。世界中でみると、3億人以上がフッ素化物入りの上水道を使用しています。さらに、1969年にはWHO(世界保健機関)が、フッ素による虫歯の予防を推進することになりました。しかし、フッ素の過剰症が知られるようになり、現在では多くの国が中止しています。こうした事情から、日本では現在のところフッ素化物入りの上水道を使用している所はありません

〈豆知識②〉フッ素とフッ酸

今では聞いたことがある方は少ないと思いますが、フッ素塗布による悲惨な事故が過去にありました。

「八王子市歯科医師フッ化水素酸誤塗布事故」

1982年4月20日、八王子市内の歯科医院で、虫歯予防のために来院していた女児が死亡する事故が発生しました。本来はフッ化ナトリウムを塗布する予定でしたが、誤ってフッ化水素酸(毒物)を塗布したことが原因でした。事故後、当該歯科医師は業務上過失致死罪で起訴され、1983年2月24日に禁錮1年6ヶ月、執行猶予4年の有罪判決を受けました。さらに、歯科医師と妻は責任を認め、慰謝料を支払うことで示談が成立しました。フッ化水素酸は工業用途では重要ですが、酸としてはそれほど強力ではありません。しかし、フッ化物イオンがカルシウムやマグネシウムと結合し、全身症状を引き起こすなど、人体に有害な物質です。

1982年3月19日、八王子市内の歯科医院で、虫歯予防薬の注文が誤解され、フッ化水素酸が届けられました。その後、フッ化水素酸をフッ化ナトリウムと勘違いした歯科医師が、女児に誤って塗布しました。女児は異常な暴れ方をし、腹痛や口のただれを訴え、救急車で病院に搬送されましたが同日に死亡しました。歯科医師の妻は間違いに気付きましたが、証拠隠滅のために容器を焼却処分しようとし、押収されました。

この事故は、歯科医療の質に大きな疑問を投げかけるものです。歯科医師は、患者さんの口腔の健康を守る責任を持ち、正確な診断と適切な治療を提供しなければなりません。しかし、このような事故が起きると、患者さんにとっては信頼失墜となり、歯科医療への不安感や恐怖心を抱くことになります。

この事故を受けて、日本歯科医師会など、関係機関は積極的な対応を取りました。まず、事故の被害者への補償や治療支援を行うとともに、他の歯科医療機関に対しても注意喚起や教育を行い、同様の事故の再発を防ぐための取り組みを行っています。

この事故は、医療の安全管理の重要性を改めて認識させられました。歯科医師は、人々の口内健康を守るために日々努力しているのですが、その中でもリスク管理はとても重要です。この事故は、怠慢や注意力の欠如が原因で起きたものと言えるでしょう。

この事故は今でも歯科医師国家試験や歯科衛生士国家試験にも出題され、かつては歯科医師国家試験では禁忌肢の問題に設定されていました。

◎骨粗しょう症を予防する効果
フッ素には骨密度を増加させる働きがあります。骨減少がみられる閉経後の女性にフッ素を含むモノフルオロリン酸を毎日継続して摂取させたところ、骨密度が2.4%増加したという研究結果が出ています。

<豆知識②>薬にも使われるフッ素
フッ素は医薬品の分野でも活躍しています。たとえば、フッ素は緑内障👁️の目薬に使われています。フッ素の特徴である化合物の安定性改善効果や酸化による化合物の分解防止のために配合されています。さらに、世界で一番売れているといわれる高脂血症治療薬にも含まれています。フッ素はこの薬に配合することで、たんぱく質と相互作用をして活性を上げることがわかっています。

【フッ素は食事やサプリメントで摂取できます】

フッ素を含む食品

・いわし
・さんま
・抹茶

こんな方におすすめ

・骨や歯を強くしたい方
・虫歯を予防したい方

以上、いかがでしたでしょうか?

フッ素についてはいろいろな歴史があり、その効果は歯だけでなく全身に及ぶものです。
また過去にフッ素塗布において悲惨な事故があった背景も忘れてはなりません。

このブログを通して少しでもフッ素についての理解が進めば幸いです🙇

では、今回はこのへんで〜👋

また次回元気にお会いしましょう❗️

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