CLINIC BLOG
歯についての一般知識〜唾液腺の疾患〜
こんにちは🌞
札幌 北24条かやの歯科クリニックのどいです。
いよいよ天気も夏らしくなってきましたね🥵
毎朝の散歩も暑い日は汗だくになります💦
運動の際は水分・ミネラル補給をして熱中症予防をしていきましょう。
では本題に入りまして、今回は「唾液腺の疾患」について書かせて頂きます。
【唾液腺炎(だえきせんえん)】
唾液腺炎はさまざまな原因で生じ、その原因によって細菌性、ウイルス性、アレルギー性、自己免疫性に分類されています🧐
◎化膿性唾液腺炎
唾液の分泌が少ない時に発生しやすい疾患で、口のなかに常在する菌(黄色ブドウ球菌、溶連菌、肺炎球菌が原因として多い菌🦠です)が唾液腺の開口部から侵入して発生するものです。
《症状》
急性のものでは唾液腺に痛みや腫れが生じ、導管(どうかん:唾液が出る管)の開口部から膿(うみ)が出たりします。慢性のものでは唾液腺が硬くなり、唾液の分泌が低下したりします。
《治療》
急性のものに対しては、殺菌性うがい薬などにより口腔内を清潔に保つとともに、抗菌薬を投与します。慢性のもので口腔の乾燥感が強い場合には、うがい薬や人工唾液を使用することもあります。
◎ウイルス性唾液腺炎
代表的なものとして流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん)、俗に言う「おたふくかぜ」があげられます。ムンプスウイルスの感染によって生じ、一度かかると免疫ができて再感染はしません。
《症状》
潜伏期は2〜3週間で、小児に多いのですが、大人では睾丸炎(こうがんえん)、卵巣炎(らんそうえん)などを併発して、不妊の原因になることがあります。まれに顎下腺におこることもあります。また、片側だけではなく、数日遅れて両側に発症することが多いのも特徴です。
《治療》
全身的には安静と解熱薬の投与、局所的には冷湿布(れいしっぷ)とうがいを行ないます。
★おたふく風邪について詳しく★
流行性耳下腺炎(りゅうこうせいじかせんえん、英: Mumps)は、ムンプスウイルスの感染によって発生するウイルス性の感染症。一般にはおたふく風邪として知られています。
「おたふく風邪の患者」
《主症状》
耳下腺の腫れを主症状とする。両側の耳下腺が同時に腫れる場合が多いが、片側の耳下腺だけが腫れる場合、片方の耳下腺が腫れた後にもう一方の耳下腺が腫れてくる場合もある。顎下腺まで腫れる場合もある。
- 顔面の疼痛:発症から12 – 24時間以内に唾液腺(耳下腺)の腫脹(60 – 70%で発生)。耳下腺の腫れは3 – 7日でゆっくり消失するが、約10日に及ぶ場合もある。
- 発熱:38 – 39℃の発熱が3 – 5日間。発熱を伴わない場合もある。
- 頭痛
- 咽頭痛
- こめかみや顎の腫脹:約30%の患者ではこの腫脹が認められないとする報告がある。
- 膵炎
《合併症》
無菌性髄膜炎
10人に1人と合併症としては最多(40%が耳下腺の腫脹無しで発生)。基本的に後遺症はないが稀に髄膜脳炎を伴う(6,000人に1人程度)場合もある。
難聴(ムンプス難聴)
重篤な難治性難聴が後遺症として残ることがある。頻度は教科書的には希もしくは1万5000人に1人程度とされていることが多いが、2004年の報告では高頻度としており、184 – 533人に1人とする調査結果もある。国立感染症研究所は、2001年の1年間の全国のムンプス難聴受療患者数は 650人と推計している。
2018年5月に発表された日本の疫学調査では、おたふくかぜにかかった人の282人に1人が合併症で難聴になっており、これまでの報告よりもはるかに高い確率であることが示された🧑🎓
睾丸の痛み、拡大
思春期以降に感染した男性の約20%で、精巣炎・副精巣炎。両方の精巣が侵されることは少ないため、不妊症になることもあるが、頻度は高くない。
《原因》
「ムンプスウィルスの顕微鏡像」
原因はパラミクソウイルス科のムンプスウイルスで、飛沫感染、ならびに接触感染により感染する。2歳から12歳の子供への感染が一般的であるが、他の年齢でも感染することもある。通常耳下腺が関わるが、上記年齢層よりも年上の人間が感染した場合、耳下腺、睾丸、卵巣、中枢神経系、膵臓、前立腺、胸等、他の器官も関わることがある。場合によっては、治った後も生殖機能に後遺症が残る。潜伏期間は12-25日、通常は16-18日である。
《治療》
流行性耳下腺炎の特異的治療法は存在しません😰首やほかの腫脹箇所を冷やしたり暖めたりする対症療法で症状が軽減される場合もあります。また、アセトアミノフェンやイブプロフェンを鎮痛のために経口投与したりします💊
また発熱による脱水症状を軽減するため水分の摂取を行います。
膵炎により強い吐き気や嘔吐が生じた場合は輸液を行います。
《予防》
生ワクチンを接種💉します。1歳から接種可能です。任意接種でお金がかかりますが、上記のような合併症にかからないためには是非受ける必要があります。大きい子どもや成人の方はおたふく風邪にかかったかどうかわからない人が多いので、検査をして抗体がなければ受けておくのが推奨されます。以前は検査自体があまり精度がよくありませんでしたが、最近は抗体がきちんと検出されるようになったので、チェックをする価値があります。
罹患したかどうかはIgM抗体を検査すると分かります。
【唾石症(だせきしょう)】
唾液腺の中や導管の中に石(唾石)ができることによって生じる病気で、ほとんどは顎下腺に生じます。唾石は砂粒大の小さなものから数cmに及ぶものまでみられます。
唾石の原因は導管の炎症や唾液の停滞、さらに唾液の性状の変化などです。
《症状》
ものを食べようとしたり、あるいは食べている最中に、唾液腺のある顎の下(顎下部)が腫れて(唾腫=だしゅ)激しい痛み😣(唾仙痛=だせんつう)がおこり、しばらくすると徐々に症状が消退するのが特徴です。
《治療》
小さな唾石は開口部から自然に流出することもあります。口底部にある唾液の導管内にある唾石は、口の中で切開して唾石のみを摘出します。顎下腺の中にできたものは、顎下腺ごと唾石を摘出します。
【シェーグレン症候群】
口腔乾燥や眼の乾燥を主な症状とする自己免疫疾患です。同じ自己免疫疾患であるリウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス、進行性全身性硬化症(しんこうせいぜんしんせいこうかしょう)や多発性筋炎(たはつせいきんえん)などを合併することもあります。耳下腺や顎下腺の炎症により腺が萎縮(いしゅく)するため、強い口腔乾燥とこれに伴う咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)、さらに会話や味覚などの障害がおこる病気です。原因は不明で根本的治療はありません。口腔乾燥に対して塩酸セビメリンや塩酸ピロカルピンを投与して唾液分泌を増やします。
【唾液腺腫瘍】
唾液腺に生ずる腫瘍は、耳下腺に最も多く、顎下腺および小唾液腺(口腔粘膜下にある唾液腺)がこれに次ぎ、舌下腺に生ずることはまれです。小唾液腺や舌下腺に生じた腫瘍は口腔内に症状が出現します。
一般に唾液腺に生ずる腫瘍は良性腫瘍が多いのですが、悪性腫瘍の場合もあり、とくに舌下腺に生じたものには悪性が多いことが知られています。
◎唾液腺の良性腫瘍
唾液腺の良性腫瘍は、一般に境界が明瞭で、徐々に大きくなるため、痛みや神経の麻痺(まひ)が生じないのが特徴です。多形腺腫(たけいせんしゅ)と呼ばれる腫瘍がもっとも多く、ワルチン腫瘍(腺リンパ腫)、基底細胞腺腫(きていさいぼうせんしゅ)やオンコサイトーマなどの種類があります。
《治療》
早期に外科的に切除します。多形腺腫はまれに再発したり、悪性化したりすることがあるので注意が必要です⚠️
◎唾液腺の悪性腫瘍
進行とともに痛みや神経麻痺(しんけいまひ)を認めるのが特徴です。耳下腺に生じたものでは、耳前部の痛みや顔面神経の麻痺、顎下腺や舌下腺に発生したものでは、舌の痛みや神経の麻痺をおこします。一般に高齢者に多く、多形腺腫由来癌(たけいせんしゅゆらいがん)、腺癌(せんがん)、腺様嚢胞癌(せんようのうほうがん)、粘表皮癌(ねんひょうひがん)、腺房細胞癌(せんぼうさいぼうがん)と呼ばれるものが代表的なものです。
《治療》
手術により、完全に切除することが必須です。放射線治療や化学療法を併用することもあります。また、頸部のリンパ節に転移がある場合には、頸部郭清術(けいぶかくせいじゅつ)を行います。
以上、いかがでしたでしょうか?
内容が盛りだくさんになってしまいました😅💦
特に「おたふく風邪」についてはお子様がいるご家庭では必ずといっていいほど遭遇する確率が高いので、内容も詳しく書かせて頂きました。
また、腫瘍など唾液腺に関連する口腔内疾患も数多く、原因も様々な要因から成り立っています。
今回の唾液腺を含め、口腔内に生じる腫瘍については、また次回以降詳しくご説明させて頂きたいと思います。
ではでは今回はこのへんで〜👋
また次回、元気にお会いしましょう🙇♀️
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