CLINIC BLOG

口腔顔面領域の歯科医学~口唇口蓋裂などの先天異常について~


こんにちは🌞
北24条かやの歯科クリニックのどいです。

今年が始まって10日あまり…早いですねねぇ😅
やっと本格的に雪が降りましたね⛄
場所によってはかなり除雪が大変だったみたいですが、皆さまのお住まいの地域は大丈夫でしたでしょうか?

では、今回は口腔軟組織にできる先天異常として「口唇裂(こうしんれつ)、口蓋裂(こうがいれつ)、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)」、「舌強直症(ぜつきょうちょくしょう)」、「先天性歯(せんてんせいし)」について書かせて頂きます。

【口唇裂口蓋裂などの先天異常】

外表奇形(がいひょうきけい:目に見える部位の奇形)の中で、わが国では口腔と顎に発生する先天性の形態異常としては、口唇裂(こうしんれつ)や口蓋裂(こうがいれつ)がもっとも多くみられます。さらに顔の一部も裂けている斜顔裂(しゃがんれつ)、横顔裂(おうがんれつ)、耳や指の形態異常を合併した症候群もみられ、その程度はさまざまです。また、舌にもいろいろな異常がみられます🧐

【口唇裂】

口唇裂とは、妊娠中に組織が完全にくっつかない場合にできる、唇の開いた部分です。先天異常(出生前の段階で生じた身体的な異常)の一種です。
口唇裂の症状には、顔面の変形や整容性の問題、摂食や言語の問題などがあります。
口唇裂の割れ方には、唇のみがつながっていない「口唇裂」、唇と歯茎がつながっていない「唇顎裂」、のどちんこのみがつながっていない「軟口蓋裂」、のどちんこだけでなく上あごにもつながり忘れがある「口蓋裂」、口唇も口蓋もつながっていない「唇顎口蓋裂」などがあります。

《治療》

口唇裂の治療には長い期間がかかりますが、しっかりと治療をすれば後遺症もほとんど残らずに治る病気です。口唇を閉鎖する手術は👶通常は生後3ヶ月から6ヶ月頃に行われます。

【口蓋裂】

口蓋裂は、胎生期の組織欠損や癒合不全により、口蓋(くちの中の天井)に裂が生じる先天的な病気です。日本人では500~600人に1人が発症すると報告されており、稀な病気ではありません。
口蓋裂の原因としては、遺伝子、妊娠中のたばこ、ストレス、服用薬などが可能性として挙げられます。また、妊娠の初期(顔や口蓋が形成される2~3か月ごろ)に胎児に異常な力が加わったり、母体の栄養障害や精神的なストレスなども原因として考えられます。

《治療》

口蓋裂の治療には、軟口蓋形成術と硬軟口蓋形成術など、さまざまな手術方法が考案されています。手術は👶1才以降、体重7kg以上を目安に行われます。治療期間は長くなりますが、しっかりと治療をすれば後遺症もほとんど残らずに治る病気です。

口蓋裂の手術後は、できるだけ早く吸う、吹くなど鼻咽腔閉鎖機能の訓練を開始します。言語治療にうまく取り組めるようになるのは、大体4歳ぐらいです。小学校入学前後に、ほぼ正常言語の獲得ができると言われています。

どちらの疾患も出産直後から成人するまでの長期間にわたる、一連の治療が必要となります。それには口腔外科、矯正歯科、小児歯科、形成外科、耳鼻咽喉科、小児科、言語治療科、一般歯科などによる総合治療が必要です。
口蓋裂児ではミルクを上手に飲んだり、顎の正常な発育を促すためのホッツ床という装具(プレート)を生後可及的早期に作製し口腔に装着します。
手術後も鼻咽腔の閉鎖が不十分な場合は、発音が鼻声となります。このような場合には、スピーチエイドとよぶ補助器具を装着することもあります。

口唇裂、顎裂、口蓋裂の患者は、もともと上顎の発育が不十分なうえに、形成術による術後の瘢痕(はんこん)のため、さらに発育がわるくなっているのが普通です。このため、上顎の成長が極端にわるく、下顎の前歯が上顎の前歯より前に位置する反対咬合(はんたいこうごう)が必ず発生します😟

また、歯胚(しはい:歯の芽)が欠如し、歯が生えてこなかったり、歯並びや噛み合わせもわるいことが多く、矯正歯科治療が必要となります。

【舌強直症(ぜつきょうちょくしょう)】

舌小帯短縮症(ぜつしょうたいたんしゅくしょう)とも呼ばれ、舌👅の下にあるすじ状のもの(舌小帯)が太く短いものをいいます。

《症状》

舌の運動範囲が制限され、とくに舌尖(ぜっせん)を上げたり前に出すことが困難となり、発音や哺乳(ほにゅう)、さらに咀嚼(そしゃく)障害をきたすこともあります。

《治療》

舌小帯を切り離して、舌が伸展しやすくする手術(舌小帯伸展術 ぜつしょうたいしんてんじゅつ)を行ないます。聞き分けのよい子であれば、外来で行える簡単な手術です。

【先天性歯(せんてんせいし)】

出生時、あるいは出生後1か月以内に萌出する歯🦷を先天性歯といいます。下顎前歯部に多く、触れると歯の動揺があります。放置していると自然に脱落しますが、哺乳の障害になるようなら抜歯を必要とします。

以上、いかがでしたでしょうか?🤔

今回は歯科領域で多い軟組織に生じる先天異常について書かせて頂きました。口唇口蓋裂などの先天異常は歯科だけでなく、他科の協力が必然となってくる病気です🏥

出産時に気づくのでまずは小児科が担当されるケースが多いかと思われますが、口腔内にも機能的・審美的異常が見られる病気ですので歯科も携わって治療していくかたちになります。

意外と知られていない病気かもしれませんが、先に記した通り比較的発生頻度の高い病気のひとつです。
歯科も関与するんだな、と頭の隅にでも覚えておいて頂けると幸いです。

では、今回はこのへんで~👋

また来週、元気にお会いしましょう‼

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