CLINIC BLOG
口腔顔面領域の歯科医学〜良性腫瘍と悪性腫瘍〜
こんにちは🌞
札幌 北24条かやの歯科クリニックのどいです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?
最近は日和のよい日々が続いていますね。
夏らしく暑い日もありますので、熱中症にはお気をつけ下さい🥵
では本題に入りまして、今回は「良性腫瘍と悪性腫瘍の違い」について書かせて頂きます🙋
【良性腫瘍】
《良性腫瘍とは?》
良性腫瘍細胞は自律的な増殖をするものの、自らどこまでも自律的に増殖できる環境を作っていく能力を持っていません。あくまで発生した場所で増殖するのみであり、栄養血管の不足などそれ以上の増殖を許さない環境が生じた時点で増殖を停止します。分化度の高い悪性腫瘍より、さらに分化度の高い腫瘍と言うこともできます。
「分化度とは:がん細胞が、本来の正常な細胞の形態をどれくらい維持しているかということを言います」
「良性腫瘍の一例:多形性腺腫」
《良性腫瘍の作用》
形態的には、概ね以下のような特徴を示します(全ての良性腫瘍に当てはまる訳ではなく、またこの特徴に当てはまる腫瘍が全て良性という訳でもない)。
- 周囲の組織を圧排しながら増殖し、肉眼的にも顕微鏡的にも、周囲との境界が明瞭な膨脹性増殖を示す。転移や浸潤傾向を示さない。
- 発生母地の組織とあまり変わらない組織構造を示す。すなわち構造異型が小さい。個々の細胞の形態も母地の正常細胞とあまり大きな隔たりがない。すなわち細胞異型が小さい。
- 細胞周期が長い。また、異常核分裂を起こさない。
《臨床🏥における良性腫瘍》
良性腫瘍の診断は必ずしも臨床的な予後が良好であるとは限りません。また、悪性腫瘍はしばしば良性腫瘍の中から発生する(=良性腫瘍が悪性化する)ため、臨床的にはその意味でも、腫瘍の良悪の明らかな境界線が引きづらいことが多いです😰💦
《口腔領域の良性腫瘍の一例》
- 良性多形性腺腫
- 単形性腺腫
- オンコサイトーマ
- 乳頭状リンパ腫嚢腺腫
- エナメル上皮腫
- 歯牙腫
【悪性腫瘍】
《悪性腫瘍とは?》
悪性腫瘍(あくせいしゅよう、Malignant Tumor, Cancer)とは、生体の自律制御を外れて自己増殖する細胞集団である。腫瘍のうちで周囲の組織に浸潤して転移するものを指します。がん(ガンまたは癌)や「悪性新生物」とも称し、死亡につながることも多い疾患です。
悪性腫瘍は、上皮性の癌腫(がんしゅ)と非上皮性の肉腫(にくしゅ)に分けられます。口腔領域では肉腫はきわめてまれで、ほとんどは癌腫で粘膜の上皮から発生する扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)です。
「上皮とは:動物体の外表面や体腔(たいこう)・器官などの表面をおおう細胞層。構成する組織を上皮組織、その細胞を上皮細胞という。」
「悪性腫瘍の一例:舌癌」
《悪性腫瘍の定義》
ヒトの身体の細胞は、正常な状態では、細胞数をほぼ一定に保つために分裂・増殖を制御する機構が働いている。腫瘍は、生体細胞の遺伝子に発生した異常に起因して、正常な制御を外れて自律的に増殖を開始したものを指します。腫瘍と正常組織の区画が不明瞭で、異物が組織や細胞内に蓄積する浸潤現象 (Infiltration) が発現し、転移現象が認められる状態を「悪性腫瘍」と称します。
治療を施さない場合は全身に転移し、死に至る。
《悪性腫瘍の作用》
悪性腫瘍は、
- 無制限に栄養を使って増殖するため、生体は急速に消耗する。
- 臓器の正常組織を置き換え、もしくは圧迫して機能不全に陥れる。
- 異常な内分泌により正常な生体機能を妨げる。
- 全身に転移することにより、多数の臓器を機能不全に陥れる。
これらに伴い、癌性疼痛を引き起こすことも多い。
《口腔領域の悪性腫瘍》
口腔がんは、さらにそのできる部位によって口唇(こうしん)がん、舌がん、口底(こうてい)がん、歯肉(しにく)がん(上顎歯肉がん、下顎歯肉がん)、頬粘膜(きょうねんまく)がん、硬口蓋(こうこうがい)がんなどに分けられます。
これらのうち、舌がんの発生頻度がもっとも高く、口腔がんの約40%を占めます。そのほかには唾液腺(だえきせん)から発生する腺系癌(せんけいがん)などもみられます。
以上のように、一口にがんといってもいろいろな場合があります。しかし、一般的に良性の腫瘍に比べて、悪性の腫瘍には、(1)病気の進行が速く、できもの(潰瘍、腫瘤)が速く大きくなる、(2)できものの周りが硬い、(3)周囲と癒着していて、境界がはっきりしない、(4)他の部位に転移する、などのような共通の性質があります。
《悪性腫瘍の原因》
喫煙と飲酒は口腔がんの発症リスクを高めます。う蝕(むし歯)や合っていない義歯などによる慢性刺激も原因として疑われています。また、前がん病変(正常粘膜と比べてがんになる可能性が高い病変)である白板症(はくばんしょう)から生じたと思われるものもみられます。
「前がん病変とは:癌になる手前の状態です。 正常なものに比べ、明らかに癌の発生しやすい形態学的変化を伴った組織で、癌の発生の危険性が明らかに増加している状態です。 口腔粘膜に発症する前癌病変には白板症・紅板症があります。」
《症状》
50歳以上の男性に好発し、発生する部位や病期(がんの進行度)により、症状はさまざまです。がんの表面の特徴から白斑(はくはん)型(白く隆起しています)、肉芽(にくげ)型(ぶつぶつしています)、腫瘤(しゅりゅう)型(こぶのように盛り上がっています)、びらん型(粘膜が剥がれたように見えます)、潰瘍(かいよう)型(深くえぐれています)、などに分けられています。いずれもみた目に汚く、しこり(硬結:こうけつ)があり、ときに出血や痛みを伴います。
病期が進むにつれて咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)、さらに発音が障害されるほか、口が開けづらくなったり(開口障害)します。また、リンパ流に沿って頸部のリンパ節に転移し、リンパ節が腫れたりします。さらに進行すると、肺、骨、肝臓など他の臓器に転移し、全身的な症状をおこすようになります。
《治療》
がんのできている部位や病期、組織の特徴などを総合的に診断して、治療方針を決めますが、一般的には手術療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法の3つの方法を、単独あるいは組み合わせて治療します。頸部のリンパ節転移があれば頸部郭清術、また原発巣の切除範囲が大きい場合には他部位からの組織を移植する再建術も行われます。
治癒率は、がんの発生した部位や病期により異なりますが、口腔がん全体の5年生存率は60〜70%です。初期のものではほとんどの症例が治癒しますので、恐れずにできるだけ早期に受診することが大切です。
《口腔領域の悪性腫瘍の一例》
- 口腔底癌
- 硬口蓋癌
- 悪性黒色腫
- 悪性リンパ腫
- 歯肉癌
- 舌癌
- 口唇癌
- 頬粘膜癌
- 唾液腺癌
- 上顎洞癌
以上、いかがでしたでしょうか?🧐
かなり内容を吟味したつもりでしたが、かなりの文量になってしまいました。そしてかなり噛み砕きましたが、難しい部分もあり申し訳ありません。
最後までお読み頂きました皆さま、ありがとうございます🙇
良性腫瘍と悪性腫瘍の違いについて、少しでも理解が深まれば幸いです😉✨
では、今回はこのへんで〜👋
また次回、元気にお会いしましょう。
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